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高度な技術と長年の実績による平山ピアノ社のオーバーホール

ピアノは元来、製造から100年程度は使えるように作られている楽器です。
当社の"ピアノオーバーホール"とは、弦、調律ピン、ハンマー、ダンバーフェルト等の部品をすべて新しいものに交換し、お預かりしたピアノを製造当時の新品に近い性能 まで出来る限り回復させ、本来の響きを蘇らせることを言います。
蘇ったピアノは、次の時代に音楽の感動を与え続けます。それが「ピアノ」と「音楽」を愛する私たちの歓びでもあるのです。

当社が修復を手がけた世界の名器、
グロトリアン・シュタインウィッヒ。1886年西ドイツ製。

オーバーホールの作業工程の一部

当社の熟練技術者がひとつひとつ丹念に仕上げていきます。
※ピアノの状態により作業の工程は変わります。

  • フレームを外して響板のチェック、手入れをします。

  • 全弦の張替えをします。

  • 鍵盤のチェック、調整をします。

  • ダンパーの取り付けをします。

平山ピアノ社「オーバーホール・修理」の拘り

平山ピアノ社には、オーバーホール・修理に対する大切な"こだわり"があります。
それは、弊社が長年培ってきた"経験"と"技術"を"惜しみなくピアノに注ぎ込む"ということです。
「より良いピアノをお客様にお届けし、演奏していただく、聴いていただく、楽しんでいただく」
それが、私たちピアノの専門技術者としての義務であり、誇りであると考えるからです。
以下にその"こだわり"の作業工程の一部をご紹介します。

こだわりその一[膠(ニカワ)を使った接着]

 ハンマーとシャンク、及びハット(アップライトピアノ)接合部の接着にはニカワを使います。現在、ピアノ修理にもっとも多く使われている接着剤は、化学糊(ボンドなど)と言われる化学製品を原料に作られているものが殆どです。これらの接着剤は保存や作業がしやすく、扱いも簡単です。経験の浅い技術者でもむらなく仕上げることが出来ます。
 しかし、化学糊は乾燥後も弾力性があり、ピアノ演奏の際、鍵盤を弾いた演奏者の指の力が、僅かかもしれませんが弦に伝わる途中で逃げてしまうと考えられています。また、20~30年で劣化し接着力が弱まるとも言われています。
 そこで弊社では、鍵盤から弦まで、演奏者の意思が出来る限り完全に伝えられるよう、接着材料として"ニカワ"を採用しています。
 ニカワの歴史は古く、中国で4000年以上前に使われだし、世界中に広まったと言われます。また、昔からヴァイオリンなど様々な楽器の製造に使われてきました。あの有名な"ストラディヴァリウス"もその一例です。もしニカワが無かったら、ストラディヴァリウスが作られてから300年後、現代の私たちがその美しい音色を聞くことは出来なかったでしょう。

 ニカワは一定の温度で溶かさないと接着力が弱くなるため、湯煎で温め溶かして使います。化学糊に比べデリケートで大変手間がかかります。また、乾燥が早いため、短い時間で手早く作業しなければ上手く接着できません。接着する際に「ニカワ切れ」など、見た目では着いているようでも実は接着が完全でなかったなど、経験と知識がないと思わぬ失敗をしてしまうこともあります。
 しかし、正しい使い方をすればそれらの欠点を補って余りある、優れた接着剤でもあります。完全な接着が出来れば部材は強固に接合され、長くその力を保ちます。一旦固まったニカワは、刃物の刃も欠けてしまうほど硬くなります。そのため演奏者の指の動きを確実に弦に伝えてくれるのです。
 前述のヴァイオリン・ストラディヴァリウスはもちろん、ピアノの製造においても、名器と言われるピアノには当然のごとく使われてきた接着剤です。現在でもスタンウェイを始めとする世界トップクラスのピアノに使われ続けています。

こだわりその二[手巻き方式の張弦]

 張弦(弦を張る作業)は、一般的な方法として、本体ピンを打ち込んでから、機械を使って弦を巻き付ける方法がとられます。
一方弊社では、ピアノの弦を張る際、手始めに手作業でピンに弦を巻き付け、その状態を保ちながらピンを本体に打ち込んでゆきます。そうすることで、弦のねじれを防ぎ、弦の持つ本来の音を引き出せると考えるからです。作業としては決して効率の良い手法ではありません。また、耳でその優劣を確かめることは難しいかもしれません。

 しかし、この張弦方法が最良の方法と考える限り、弊社ではこのやり方を続けてゆきます。
※弊社では、上記の作業を特別なピアノ、特別なご注文でお受けすることはありません。弊社でオーバーホールをお引き受けしたピアノ全てに、同様の方式で作業させていただいております。